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2016 5 5

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マニキュアが剥がれぼろぼろになってゆく爪の中に、私を見た。

 

 

 

じっとりと時間は過ぎ、四月が終わった。ひとときの休暇も終わりを迎えようとしている。実家へ帰り、母の変わらぬ愛情を受け私は子供に戻った。いつまでもここにいたいな、なんて思いながら心で泣き東京へ戻った。東京では何人かの友達が笑っていて、ちゃんと私のことを覚えているようで一安心した。

 

職場には馴染めない。自分の要領の悪さ、根の暗さに毎日絶望する。鋭利な言葉が突き刺さる。冷たい目が重い。同期への劣等感で息がしづらい。仕事以外の日常が幸せすぎてのうみそのバランスがおかしくなる。コンビニ弁当は冷たく不味い。仕事の話は極力したくない。黒い髪が根暗を助長させているに違いない。

 

部屋が大切なゴミだらけで片付かない。髪の毛がうじゃうじゃ落ちている。私から抜けた何本もの髪の毛が、私のことを馬鹿にしているようで腹が立つ。明るい闇と言われたデスクの上が、私のことを慰める。お姉ちゃんから「明るい闇が深すぎる、明るさへの持っていき方が不自然だ」と言われた。ごもっともだ。しかし自分では自覚していない。きみが高価で可愛いワンピースを一着買うことと同じなんだよ、明るさを保つためにときめくものを集め漁ってしまうのは私の中では至極自然なことなのだけれど。しかし度合いが異常なのだろう。掃除をしていくうちにだんだんとわかってきた。もう掃除をしたくない。現状を突きつけるな、自分を映す鏡に磨きをかけたくはないんだ。

 

日々は過ぎる。肌が荒れることに、生理がくることに、お腹がすくことに、たまたま気付いたような振りをする。

 

通り過ぎる人を羨ましく思う。何も知らないのに羨ましく思う。

 

 

 

 

 

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